沖縄の若手民謡女性歌手「上間綾乃」さんの歌う「PW無常」(2009年)しみじみと聞きました。PWとはプリズナーオブウオーの略で戦争捕虜ということです。収容所に入れられた人たちに支給された服の背中にPWと刻印されていたのですね。

古着でありました。こちらでその雰囲気がわかります。ファッションになっちゃってるのはどうかと思うけどね。

この映像は嘉数高台公園なのだそうだ。この地を選んだということでだいぶ意味が深くなってくる。かつての沖縄戦最大の激戦地。この展望台は地球の形をしていて映像でも丸くなっているのがわかるね。なんで地球かというと世界平和を願って建てられたのだそうだ。沖縄も描かれているから、ひょっとして上間さんの佇んでいるのは沖縄のあたりなのかなと想像したりする。

ただ遠くを見ているだけの映像がジンとくる。この唄にはもうこうするしか無いっていう感じがするよね。戦時中にここから見える景色はどんなだったのか。太平洋戦争最大の激戦地とも言われている嘉数高地。物量で侵攻してくるアメリカ軍は砲爆撃でそれこそ地面を耕すように侵攻してきたという。壕で迎え撃つ日本軍は大量の死者を出しながらもアメリカ軍を苦しめたと言う。地獄の血みどろの、悲惨な戦闘がここで何日間も続けられた。そして戦後には普天間基地が作られていった。今は県民の猛反対を押し切って強行配備されたオスプレイも見える。

PW無情と屋嘉節は2曲は続けて歌われたりするのだけど、ほとんど同じ内容なので、自分は屋嘉節を歌っていたから、PW無情は歌おうという気がなかったけど、このPVを見て、やっぱりこの歌も歌っていかないとなと思った。自分は民謡専門のアーティストではないけど戦争関連の歌はちゃんと継承したいと思っている。若い民謡の方が戦争の歌をちゃんとした思いを持って受け継いでいく姿勢にはとても感銘を受けますね。寄り添うピアノの複雑なコード感も泣けます。

ところで無情っていう言葉も今は意味がよくわからないですね。情けが無いってことだから、無情な世の中っていうと情けの無い世の中ってことだけど、この曲では、見ていられないような、惨めで哀れっていう感じでしょうかね。元歌が普久原朝喜さんの「無情の唄」だそうなので、そこからの流れもあって無情なのだろう。

私の大好きな歌手、金城実さんのPW無情です。収容所を偲んでカンカラ三線で演奏されてますね。ステージではPWと書かれた軍作業着を着て歌うのかも

PW無情

恨みしゃや沖縄(ウチナー) 戦場にさらち
世間御万人(シキンウマンチュ)ぬ 袖(すでぃ)ゆ濡らち
浮世 無情なむん


恨めしいことよ 沖縄 戦場にさらされ
世間万人の 袖を濡らす
この世は情けの無いものよ

涙 ぬでぃ 登る 恩名山奥に
御万人とぅ 共に 戦しぬじ
浮世 無情なむん


涙をのんで 登る 恩納山 山奥に
世間万人と共に 戦を凌いだ

勝ち戦 願(ニガ)てぃ
山ぐまい さしが
 今(ナマ)や 囚われりてぃ
屋嘉に泣ちゅさ PW哀りなむん

(訳)
勝ち戦 願って
山ごもり したが 今は 囚われて
屋嘉(収容所)で泣いている 捕虜は惨めなものよ

哀り屋嘉村ぬ 闇ぬ夜ぬ鴉(がらし)
ゆるび無(ね)ん むんぬ 鳴ちゅが 心地(しんち)
PW哀りなむん

石川(いしちゃ) 茅萱(かやぶち)屋 無蔵が住み所
我や まし内ぬ 砂地枕

まし内ぬ くらし 知らさてい さしが
夢路(いみじ) 通わちょてぃ 季節(しち)どぅ待ちゅる

煙草手に取やい 忘らてい さしが
思事や 勝てぃ 落てぃん 着かん

戦てぃる むんぬ 無らんどぅん ありば
哀り くぬ姿 ならん たしが